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【vol.21 】セイレンと任意後見制度

2019.08.30

 

救急車、消防車、パトカー、防災無線などが鳴らす警報をサイレン(siren)と言いますが、その語源がホメロスの「オデッセイア」に登場するセイレンだということを知っていましたか?「意思能力を失うぞ~」というサイレンに備えて成功したオデッセウスの冒険を紹介しましょう。

トロイア戦争の英雄であるオデッセウスは、帰国の途中に様々な危険に遭遇しますが、いよいよ美女セイレンが住む島の近くを通過しようとしています。そのセイレンはその容姿の美しさに加えて、その甘い歌声で船乗りを狂わせ、暗礁に乗り上げて遭難させてしまうのです。オデッセウスはあらかじめ魔女のキルケからセイレンの美しさと歌声の危険について聞いていましたが、難破するリスクを回避した上で、その甘い歌声を是非一度聞いてみたいと決心したのです。

 

そこで、オデッセウスは、部下の兵士たちに自分をマストに縛り付けて動けないようにさせ、自分がなんと言おうと縄を解いてはならないと厳命します。さらに部下の両耳をロウでふさがせ、部下にはセイレンの歌声が聞こえないようにした上でセイレンの島へ向かったのです。

 

そして、セイレンの島に近づいて行くと、魔女キルケが言う通り、セイレンたちが現れ、裸の美しい姿や甘い歌声で暗礁のある方向へ誘導しようとします。オデッセウスは、居ても立ってもいられなくなり、部下に縄をほどくように命じますが、予めオデッセウスから何があっても縄を解いてはならないと指示されていた部下たちは当初の命令を守り通したのです。オデッセウスは事前の意思決定の結果、当初の計画通り、セイレンの美しい姿を見、かつその歌声を確認した上で、その船はセイレンの島から無事離れることに成功したのです。 

 

オデッセウスはキルケの忠告(他人の経験)に従い、自分の判断能力の喪失を見越して、部下に託しましたが、部下も託された命令を忠実に実行した結果、冒険は成功したと言えます。

 

方、現代の私たちの周りでもセイレンは跳梁跋扈しています。老後には難破に例えるリスクはいくつもありますが、そのひとつは、脳梗塞や認知症などで、判断能力を失うことでしょう。オデッセウスのような備えなく、老後の航海をしていると、セイレンに難破させられかねません。セイレンの歌声が聞こえてきませんか?

 

オデッセウスは自分を信じない、即ち、意思能力を失うことを前提に備えたことで助かりましたが、現代では自分が意思能力を失ったとしても、家族や信じられる人に自分を守ってもらう方法が法律で用意されています。それは、オデッセウスの縄に変わる任意後見制度です。

法定後見制度は、見方によってはセイレンに対する備えをしていなかったために、船が難破してしまい、海に投げ出された人を救済する制度だと言えますが、任意後見制度はオデッセウスのように、予め意思能力を失うことを前提に、難破しないための制度だと言えます。

蛇足ながら、託された内容を忠実に実行してくれる部下(家族、専門家)も必要です。

 

あなたにはどんなサイレンが聞こえますか?オデッセウスになるか否かはあなた次第です。

任意後見制度についてはHappy Ending プランナーにご相談ください。

オデッセウスを助けた魔女キルケの役割を果たすことができます。

 

<Happy Ending カード NO.D-2 任意後見制度>