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【Movies】「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」エピソード1 : 外部記憶の力

2018.01.14

 

臨終の床で人生を振り返る映画が「ベンジャミン・バトン」です。

厚い絨毯のように様々なストーリーの糸が紡いであるので、何回かに分けて紹介します。
今回のエピソードは外部記憶の力です。

絵に描いたようなHappy Ending ストーリー!
ベンジャミンとデイジーのように自分たちの人生を振り返りながら最期を迎えることができたら...
人生の最期に一生が走馬燈のように駆け巡るためには、外部記憶という準備が必要です。
ベンジャミンとデイジーの外部記憶はベンジャミンの日記でした。

ハリケーンがやってくるニューオーリンズの病院で、臨終の時を迎えようとしていたデイジー(ケイト・ブランシェット)に、一人娘のキャロライン(ジュリア・オーモンド)が寄り添っています。ハリケーンの襲来への準備にニューオーリンズの病院は火事場のような状況でした。

しかし、そのような状況の中で余命幾ばくもないデイジーはキャロラインに分厚い日記帳を取って、ベッドサイドで読み上げるように求めます。その日記帳には多くの手紙と写真が挟まれていました。その日記は今は亡きベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット)のものであり、二人の自分史だったのです。

目的がわからず読み上げ始めたキャロラインは、日記によってベンジャミンとデイジーの人生の物語を初めて知ることになります。世界中を放浪したベンジャミンの行動はその日記がなければわからかなったでしょう。デイジーとの関係も(デイジーは忘れていたかもしれない)克明に記載されていました。

そして、しばらく進むと、なんと、ベンジャミンがキャロラインのことについて書いているのです。そこで、キャロラインはベンジャミンが自分の実の父親であったことに気付きます。キャロラインは、それまでデイジーと再婚した男性を父親だと教えられていたのです。死ぬ前にデイジーはそのことを知らせておきたかったのですね。そして、日記に挟み込まれていたベンジャミンからキャロラインに誕生日ごとに送られてきた手紙を読んで涙を流します。母の臨終の時にはじめて本当の父親とその愛情に接したのです。

デイジーはベンジャミンの日記を最後まで娘のキャロラインに読み上げてもらい、ベンジャミンと自身の人生の振り返りをするとともに、キャロラインにその想い出を遺すことができました。そして、デイジーはハリケーンの中にもかかわらず、安堵した面持ちで息を引き取るのです。Happy Ending !

長い人生の軌跡は口頭で簡単に伝えられるようなものではありません。ましてや病院のような落ち着かない所では...
しかし、日記という外部記憶によって、ベンジャミンとデイジーのストーリーはキャロラインに繋がりました。そのように考えると、様々な人のスト-リーが織りを為して人間模様と歴史を作っているので、そこに穴を開けるわけにはいきませんね。ストーリーを書き残すことの意味合いを深く感じさせるエピソードです。

ラストシーンは、水で流されていく逆回りする時計...
時のながれに抗しようとする人の姿が逆さ回りの時計だったのでしょうか。

Happy Ending カード No.  I-3「自分史のすすめ」

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