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【Happy Ending マガジン vol.5】臓器提供の意思表示

2018.04.03

<Happy Ending マガジンからの続き>

自動車運転免許証、健康保険証の裏面にあなたが意思表示すべき重要なメッセージの記載欄があるのを知っていますか?

<運転免許証・健康保険証における臓器提供の意思表示欄>
「以下の欄を記入することにより、臓器提供に関する意思表示をすることができます。記入する場合は、1から3までのいずれかの番号を○で囲んでください。」


いったい臓器提供に関する意思表示とは何なのでしょう?また、これを記入しておかなかった場合の影響は?


◇ 自分の死後、臓器移植や献体について、決めて伝えてある。
  (Happy Ending カード No.H-6)
  
このカードの問いに対してあなたの答えはNOでしょうか?YESでしょうか?
    今回は、臓器移植についてだけ判断してみてください。
     (献体は考えないことにします)

 

<NOの場合>
移植の意思表示をしておらず、家族にも伝えていない。
あなたが脳死状態になった際に、医師から家族に対してあなたの臓器提供について打診される可能性があります。「脳死」という状況下であなたの臓器の提供の承諾を求められる家族がそのような事態の到来を予想せず、かつあなた自身の意思を知らない場合に、どのような想いをすることになるか想像してみてください。

 

 

<YESの場合>
移植の意思は決めてあるし、家族にも伝えてある。
「脳死」状態において、臓器提供の打診があることをすでに想定しており、なおかつあなたの臓器提供についての意思を知っている家族は比較的冷静にあなたの臓器を提供するか否かの判断をすることができるでしょう。また、あなたの意思に沿った判断をすることに意義を感じるかもしれません。









◇リスクはどこにあるのか?
 
第一に、臓器移植について本人が意思表示をしていない場合には、家族がその判断をすることになります。改正臓器移植法においては、意思表示をしていない本人は提供する意思があるとみなされるのです(オプトアウト方式)。その結果、移植の可否は家族の判断に委ねられることになります。

 あなたが亡くなるという状況下において、さらにあなたの体から臓器の提供を求められる家族の気持ちはどのようなものでしょう。特に、「脳死」状態はまだ心臓が動いている間にあなたの臓器を取り出す判断を求められますから、家族の精神的な負担は決して軽くはありません。

 第二に、あなたが意思表示をしていなければ、あなたの内心の意向にかかわらず、家族の判断で移植の可否が決定されてしまいます。内心では移植に協力する意思を有していたとしても、家族が反対すれば移植は行われませんし、逆に、内心において移植されたくないと考えていたとしても、家族が賛成すれば移植されてしまいます。
 臓器移植について無関心で意思表示をしておかないと、死後に求められる自分の臓器の移植について家族に負担をかけてしまうリスクです。

◇Happy Ending への選択
臓器移植について勉強した上で、以下の選択肢について自分の意思に従って意思表示を記載し、その意思を家族と共有しておくことが必要です。そうすれば、家族は「脳死」状態において臓器提供の打診を受ける可能性を想定しており、本人の意思を予め確認した上で提供の是非を判断することができます。本人の意思も実現する可能性が高まります。

1.脳死でも心停止のいずれの場合でも臓器を提供する。
2.心停止の場合に限り臓器を提供する。
3.提供しない。

自動車運転免許証と健康保険証の裏面には、臓器提供の意思表示欄が設けられています。運転免許証に早期提供の意思表示をしている人はわずかに9.2%しかいないようです。

◇臓器移植について
 まず、臓器提供の意思表示について理解しておく必要があります。臓器移植は臓器不全によって命を脅かされている人に他人の臓器を提供してその命を救う医療行為です。この移植を行うためには他人の臓器が必要ですから、
臓器不全によって命を脅かされている人のうち移植待機者(レシピエント候補者)と2017年の実際の提供数は以下の通りです。

(2017年提供数/待機者人数2018年2月28日現在,日本臓器移植ネットワークウエブサイトより)

心臓  56/665名
肺    56/336名
肝臓  62/320名
腎臓  156/12,414名
膵臓  8/205名
小腸  0/3名

平成22年に改正された臓器提供法では、臓器提供者を増やす目的の下に、「提供しない」としないかぎり臓器提供に同意したものと見做されることになりました。

◇ Happy Endingに影響する事前の意思表示
 
死後において、自分の体の一部が他人の一部となって生き続けることを望むか望まないかの判断は人それぞれです。しかし、脳死段階で家族が想定していなかった臓器提供のオプションの提示を受け、あなたの意思を確認しないままに判断しなければならない状態はHappy Ending な状態とは言えません。意思表示は遺された家族への思いやりではないでしょうか。