【Happy Ending マガジン Vol.10】臓器提供についての意思表示のリスク
自動車の運転免許証と健康保険証の裏面に何かを記載する欄が設けてあるのですが、知っていますか?
そして、記入していますか?
それは死後に臓器提供をするかしないかの意思表示欄です。
自分の意思を書いておかないと、とんでもないことになるかもしれません。臓器提供の意思表示をしておかないリスクについて、考えてみましょう。
◇ 自分の死後、臓器移植や献体について決めて伝えてある。
(Happy Ending カード No.H-6)
このカードの問いに対してあなたの答えはNOでしょうか?YESでしょうか?
<NOの場合>
自分の死後、臓器を必要とする移植候補者に提供しようと考えて、提供する意思を自動車の免許証の裏面に記載していたにもかかわらず、その意思は実現しないかもしれません。一方、臓器を提供する気がなく、なんら意思表示していなかったあなたは、その意思に反して、死後、臓器が提供されてしまう可能性を残してしまっているのです、どちらにしても、あなたの意思が実現する可能性は高いとは言えません。
<YESの場合>
あなたの意思が死後、臓器を提供するにしても、提供しないであっても、あなたの意思が実現してHappy Ending を迎える可能性が高いでしょう。
◇臓器移植の意思表示方法
免許証と健康保険証の裏面は以下のようになっています。
◇リスクはどこにあるのか?(NOの場合)
<1>臓器提供、献体の意思があり、かつ意思表示をしていた場合
「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」および、「臓器の移植に関する法律」には、本人に提供の意思があっても、献体、臓器提供には遺族の承諾を必要とすると規定しています。ですから、あなたが提供することを決めておいても、死後、遺族があなたの意思に反して、提供を承諾しなければ、その意思は実現しないのです。
<2>臓器提供、献体の意思がなく、かつ意思表示をしていなかった場合
改正臓器移植法では、本人の臓器提供に関する意思表示がない場合でも、家族の同意があれば、脳死状態における臓器の摘出を認めています。即ち、あなたが、免許証や保険証の裏面に何があるか意識せずに放置していた場合に、あなたの臓器の提供は遺族の一存で決まってしまうということです。
参加を原則とした上で、参加したくなければ脱退の意思を表明する必要があるのがオプトアウト方式です。その反対がオプトイン方式で、参加する意思表明をしない限り参加しません。従って、オプトアウト方式の臓器移植法の下では、提供しない意思表示(脱退)をしなければ、提供に同意したことになるのです。
ですから、あなたが臓器を摘出されたくなければ、「3 私は、臓器を提供しません。」に○を付けておく必要があります。反対に、臓器の移植を希望して、家族にもその旨きちんと伝えているのであれば、臓器提供カードに何も記載する必要はありません。オプトアウトしていなければ、自動的に臓器提供の意思ありとされるのですから。
知らないということは怖いことです。選択という人間の権利の価値をゼロにしてしまいます。 オプトインが当たり前だと考えている人にとって、オプトアウトは落とし穴のような仕掛けなのです。
<3>遺族に提供の可否の判断をさせるリスク
あなたが死んだ直後に、悲しみに暮れているあなたの家族に、医師が臓器提供のオプションの提示をしたら、家族はどれほどストレスを感じるでしょうか?あなたを失った直後に、想定していなかった臓器移植の判断をしなければならないのです。生前にあなたが自身の意思を示しておいておけば、臓器移植のオプション提示は想定外ではなくなり、あなたの意思により判断することができる家族のストレスは大幅に軽減するでしょう。臓器提供の意思表示をしておくのは、家族に対する思いやりでもあるのです。
<4>脳死状態で臓器を提供するリスク
脳死は、臓器移植のために創られた新しい「死」です。選択肢「1.脳死後および心臓が停止した死後のいずれでも」を取るのであれば、脳死状態における臓器摘出について十分に理解しておく必要があります。これについては別の機会に触れたいと思います。
◇Happy Ending への選択
死後において、献体、臓器を提供する意思があろうが、なかろうが、免許証、保険証、マイナンバーカード等の臓器提供意思表示カードに自分の意思を明確に記載して、さらに家族と共有しておくことで、あなたの意思が実現する可能性が高まります。
臓器提供の意思表示はHappy Ending プランナーにご相談ください。