【vol.12】知ってるつもり?自分自身のこと
◇自分史のベストセラーとしての「アンネの日記」
14歳の少女アンネ・フランクが書いた日記の一節です。
「・・・書くことによって、新たにすべてを把握しなおすことができるからです。わたしの想念、わたしの理想、わたしの夢、ことごとくを。」(※)
アンネはキティと名をつけた日記に対して、自分の考えを綴っていました。アムステルダムの隠れ家で、その書くことを通じて自分を認識し、将来のことを考えていたのです。
それに対して、私たちは、どれだけ自分のことを知っているでしょうか?
「アンネの日記」は世界で最も読まれている自分史だと言えるでしょう。書くことと自己認識の関係についてHappy Ending カードNo.I-3を起点に考えてみてください。
◇ 自分史を書いている。または、書くつもりだ
(Happy Ending カード No.I-3)
このカードの問いに対してあなたの答えはNOでしょうか?YESでしょうか?
<NOの場合>
頭の中で記憶を辿るだけでは自分の過去を振り返ることはできません。書かなければ、思考は具体化しないのです。そこで、自分の過去を振り返って、書いたものが自分史(必ずしも本の形態を取る必要はありません。)なのです。書くことによって過去の振り返りをしていないとすれば、自分のことをよく知らずに生きているかもしれません。
<YESの場合>
過去の行動を自分史に書き落とすと、人生の点がストーリーとして繋がり、自分のアイデンティティ(一貫性・個性)を明確に感じていることでしょう。さらに自分のアイデンティティ(個性)を成長させたいと考えているはずです。
◇ リスクはどこにあるのか?(NOの場合)
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と孫子が書いています。
「百戦」とは自分の人生ですが、「彼」を知るだけでは十分ではなく、「己」も知らないと、Happy Ending にならないという「殆うさ」(リスク)なのです。
「己を知る」とは、自己認識、すなわち自分のアイデンティティ(一貫性・個性)を認識することです。人生に意味を必要とする人間にとって、アイデンティティ(一貫性・個性)は、人生の方向を決める舵のようなものです。舵のない状態で目的地に行き着くことは困難でしょうし、出港することすらできないかもしれません。
人生の前半生は社会に決められた航路を辿っていけばなんとか目的の港に入港ができる可能性が高いのですが、セカンドライフに航路はありません。どこへ向かおうと自由ですが、自分の舵がしっかりしていないと漂流もしくは難破しかねません。
自分を知らないで生きるリスクは人生の後半生に次第に大きくなって行くと言えます。
◇Happy Ending への選択
航路のないセカンドライフを航海するのにあたって、自己認識をしてから出港するか、しないかはあなたが選択することです。
「己を知る」方法は簡単とは言えませんが、アンネが言う通り、「書くことによって、新たにすべてを把握しなおすことができる」のです。思考の外在化と言いますが、書くことで頭の中だけでは気づかないことに気づき、より思考が具体化していきます。
「自分史」という言葉に縛られないでください。自己認識に必要なのは人生全史ではありません。数件の重要なトピックとその解釈であり、若い時から順番である必要も、一遍に作る必要もありません。ここでは形式に囚われず、自分史を自己認識へのひとつのステップだと考えます。
まずは、年表形式で、自分の人生のターニングポイントとなったトピックをひとつずつ書き出してしてみたらいかがでしょう。
完成したら、きっと自分を誉めてやりたくなりますよ。
Happy Ending カードとHappy Ending プランナーがそのサポートをさせていただきます。
(※)「アンネの日記」文藝春秋 深町眞理子 訳より