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【Books】100歳の美しい脳 デヴィッド・スノウドン

2018.12.23

スノウドン教授が678名の修道女の調査から発見した意外な認知症の発生原因と、そこから導きだされる認知症の予防法。

認知症はその原因がいまだに定かではないため、根本的な治療方法もない恐ろしい病気です。

 

スノウドン教授は、ノートルダム教育修道会のシスターを研究の対象に選びます。シスターは18歳から修道院に入り、神の妻として生涯独身であり、食事や生活環境などが同じ条件なので、データの取得には好都合な標本なのです。

彼は、同じような環境で生活する彼女達にも認知症を発症する人と、発症しない人がいることから、その差違を突き止めるべく研究をはじめます。678名のシスターがスタディに同意して参加しました。

 

 

調査のポイントは以下の3点でした。

    認知機能調査(毎年)

    死後の脳の解剖調査

  (脳の萎縮、神経原線維化、アミロイドβプラークの存在等)

    22歳の時に本人が書いた自伝(半生記)

 

 

調査の結果は大変意外なものでした。死後の脳の解剖において、脳の萎縮、神経原線維化、プラークが顕著であっても、死ぬまで意思能力を保ったシスター(強靱な抵抗力の保持者、逃げおおせた人)もいれば、逆に脳に大した障害がなかったにもかかわらず、認知症を発症したシスターも存在したのです。

 

これで、神経の原線維化、プラークの存在が即ちアルツハイマー病の発症ではないことが判明しました。そこで、何が発症の原因なのか、あるいは何が発症を抑えているのかを突き止める必要が出てきました。

 

スノウドン教授は、シスター全員が22歳の時に書くという自伝(半生記)の存在に気づきました。言語学者とともにその死亡したシスターの自伝の内容と認知症の発症ならびに脳の解剖のデータの関係を追求していきます。その結果、自伝における以下の3点のポイントと認知症に高い相関関係があることを見出したのです。

 

    意味密度の濃さ(単語10個あたりの命題数 言語処理能力を現す)

    文法的複雑さ(短期記憶と関連)

    ポジティブな感情表現

 

この3点の要素を充足した自伝を22歳の時に書いたシスターは数十年後の最期まで高い認知能力を保ち続け、その割合は80%に登りました。

 

すなわち、22歳の時点において、語彙力が抱負で、優れた文脈で、かつ自分の感情を豊に自伝に表現したシスターは、アルツハイマー病に対して強靱な抵抗力を示して認知症になりにくかったのです。一方、彼が「財産目録型」と評する3つの要件に欠けた自伝を書いていたシスターは、アルツハイマー病に対する抵抗力が弱く、認知症になる確率が高かったのです。

 

認知症を予防するヒントが本書にあります。

詳しくは本書をお読みください。