【Books】手洗いの疫学とゼンメルワイスの闘い
私たちがなぜ、今手洗いをしているかというと、目には見えない、細菌とウィルスが存在し、外出するとそれが、手に付いている可能性が高いので、体内に取り込まないためです。細菌とウィルスが体内に入ると、増殖し、感染症となって様々な支障を体に及ぼし、最悪の場合は命を失います。
細菌が発見される前にはその影響がわからなかったため、手洗いはいいかげんなものでした。
ウィーン総合病院の産科で産褥熱のために次々を妊婦が亡くなっていく原因を、消去式帰納法で突き止めたゼンメルワイス。その手法が詳細に記されています。
手を洗わずに医師が妊婦を内診していたなんて今から考えると信じられませんが、それが当時の医学界の常識だったのです。
ゼンメルワイスの手洗いは、既存の常識にとらわれる当時の医学会には容易に受け入れられませんでした。しかし、昔はともかく、それが判明した現在でも必ずしも充分ではないことも記されています。免疫力の弱い幼児や高齢者に止まらず、あらゆる人に理解しておいて欲しい情報がこの一冊にあります。