【Books】ブラックスワン ー 七面鳥に学ぶ ー
七面鳥はキジ目の大型の鳥ですが、Turkey Day(七面鳥の日)と言われるように感謝祭の料理として供されることで知られています。タレブはその著書「ブラックスワン」に興味深いエピソードをちりばめていますが、そのひとつ、黒鳥ならぬ七面鳥のお話をご紹介しましょう。
七面鳥は毎日飼い主から餌をたっぷりもらって太っていきます。
毎日餌をくれる飼い主はとても親切な人だと思っています。毎日毎日餌をたっぷりくれるので、それが一般的な法則であると信じ込んでいきます。
しかし、感謝祭の前日の午後、思いも掛けないことが七面鳥の身に降りかかります。
それは、今までの経験からすれば、彼にとって、全く想定外だったのです。今起こった事象について、過去の経験は何の役にも立たなかったばかりか、むしろ、起こった事象に対する備えをする気にもさせなかったのです。
タレブが語る七面鳥のエピソードは、考えてみると決して珍しい話ではありません。数十年ヨーロッパに暮らしていたユダヤ人たちが1930年代に遭遇したこと。一度も飛行機が突入することがなかったワールドトレードセンターで仕事をしていた人、一度も津波を見たことがない人が3.11の際に東北の沿岸で遭遇したこと、健康診断で初めてがんが見つかった人などを考えると、私たちはむしろブラックスワンに取り囲まれて生きていることに気付きます。
経験(過去のデータ)に基づく将来の予測は、プラス面ばかりではなく、むしろマイナスの価値を持つ場合があるのです。事故や災害に遭遇した人の多くは、「今までこんな目に遭ったのは初めてだ」とか、「想定外だった」とコメントしますが、その人たちの経験はマイナスの価値を発揮していたためなのかもしれません。
タレブは最後にブラックスワンの正体を明かしますが、その意外さにあなたは驚くとともに、運のよい自分に気付くことでしょう。
<Happy Ending カードNO.A-3 幸せの確認>