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【vol.22】「最高の人生の見つけ方」と優先順位のマトリクス

2019.09.26

10月11日から劇場公開される吉永小百合、天海祐希主演の映画「最高の人生の見つけ方」が終活ブームの下で話題になっています。

今回のテーマはなぜ、「死ぬまでにやりたいことリスト(Bucket List)」を余命宣告を受けてからでないと書けないのか?です。余命宣告を受ける前に書いてもよさそうなものじゃないかという素朴な疑問なのですが、「7つの習慣」にそのヒントがありました。 

 

◇ 日本版「最高の人生の見つけ方」

日本版は見てのお楽しみ!

 

◇ ハリウッド版「最高の人生の見つけ方」

日本版「最高の人生の見つけ方」の原作が、2007年に公開されたハリウッド版「最高の人生の見つけ方」(原題:「Bucket List」)。原題にあるバケツは棺桶です。Kick the bucket.というと死ぬという意味だそうです。すでに一般名詞化したBucket Listとは、自分が死ぬまでにやりたいコトの一覧表なのです。

 

ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン主演のこの映画では、二人部屋に入院していた二人のがん患者が同時に医師から余命半年と宣告を受けることから始まります。余命が半年だと知った二人はガクッと肩を落としますが、フリーマンは黄色のメモパッドに死ぬまでにやりたいことを10個書き出したのです。これがBucket List。書いたものの、諦めかけたフリーマンをニコルソンが励まして、二人は世界中を回ってその10個のやりたいコトを実現してしまいます。

 

しかし、どうでしょうか。冷静に考えると、余命半年の末期がんの患者がこの映画のように世界中を飛び回れるとは到底思えません。ここが問題です。なぜ、いい歳をした大人がもっと早く、余命宣告を受ける前の元気なうちに、やりたいコトを考えて実行していないのか?やりたいことをやらずして何をしていたのか?です。

 

◇ 7つの習慣

世界で最も売れた(3000万部)ビジネス書である「7つの習慣」(スティーヴン・コヴィー著)は、人生を成功させたい、即ちHappy Ending になりたい読者から大きな支持を得ました。

 

その第2の習慣「目的を持って始める」の章は、自分の葬儀を想起せよから始まります。自分の葬儀で出席者に自分のことをどのように思ってもらいたいのかを考えよ!というのです。コヴィーは人生の成功を望む読者に対して、冒頭に人生の締め切りである死を強く意識させました。

そして、第3の習慣は「重要事項を優先する」です。バケットリストの作成してHappy Ending になるためにはこの第2と第3の習慣が必要なようです。

 

◇ 先送りされて間に合わない第2領域の課題

生きている限り、時間は誰にでも平等に配布されています。問題はその使い方にあります。優先順位は時間のバケツに何をどのような順番で入れるかを決めることなのです。

有限の時間のバケツに何から順番に入れるかを考える際に有効なのが、緊急度と重要度の2軸で優先順位を判断するマトリクスです。「7つの習慣」にも掲載されています。

 

 

 

緊急とはすぐに対応しなければならないように見えるコトであり、重要とは結果の影響度を現しています。このマトリクスを見る上で注意が必要なのは、人は緊急性の高いことに反応しがちであるという点です。電話は代表的な緊急性の高い仕事です。どんなに重要なことをしていても、皆さんも電話には反応的に出てしまいませんか。

 

今かかえる課題をこのマトリクスにプロットします。緊急度も重要度も高い第1領域は誰でも対応するので気にする必要はありませんが、重要度が高いにもかかわらず、緊急度は高くない第2領域は要注意です。第2領域は着手が先送りされがちだからです。しかも、今は緊急性のない第2領域の課題は時間の経過とともに第1領域に移行していきます。来週末が期限の課題は今日の時点では緊急性がありませんが、来週末まで着手しなければ、その時点で緊急かつ重要な第1領域の課題となってしまうのです。第1領域が課題で一杯となってやりきれなくなれば、「間にあわない」のです。

 

このように、この4領域のマトリクスで最も注意して管理しなければならないのは、緊急性は低いものの、重要度が高い第2領域の課題ということになります。第2領域の課題を緊急度が低いうちに対処しておくことによって、第1領域の問題を減らすことができます。第1領域の問題が少ないことがビジネスでは前倒しで仕事が完了していることを現し、生産性が高くなった証しとなるのです。

 

◇ 余命宣告を受けないとBucket Listを書かない理由

これは、人生においても同じことです。余命宣告を受けた時には、すべてが第1領域になってしまいます。それでは、やりたいことをクオリティ高く実現することは困難であり、やり残しも出るでしょう。

 

冒頭のなぜ、余命宣告を受けなければバケットリストを書かないのかという問題は、重要性が高くても緊急性が低い人生の課題を、緊急性の低さを理由に先送りしてしまうことに原因があるのです。まだ時間があると思ってしまう、もしくはそう思いたいのです。

しかも、緊急度は徐々に高まるとは限りません。フリーマンやニコルソンのように突然すべてのことが第1領域の課題になってしまうこともあります。

 

従って、最高の人生の見つけ方のポイントは、緊急度が低いと感じても、重要度の高い課題は緊急性が高まる前に十分に余裕を持って片づけておくことなのです。片づけて置くと書きましたが、むしろ、Bucket Listに書かれた重要性の高いことを実行すること自体が人生ではないでしょうか?

 

バケットリストを優先順位のマトリクスにプロットしてみてください。やりたいことはほとんどが第2領域にあるはずです。ひょっとして、忙しいと言いながら、第3領域や第4領域のことで貴重な時間を潰していませんか?

 

また、蛇足ながら、重要度の判断には第2の習慣「目的を持って始める」が必要となることを付記しておきます。

 

 

<Happy Ending カードNo.A-5>