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【Happy Ending マガジン vol.9】時間の欠乏のリスクとバケットリスト

2018.08.27

 

ガリバー旅行記に登場するラグナグ島のストラルドブラグのように不死人間であれば、バケットリスト(死ぬまでにやりたいことのリスト)は必要ないでしょう。しかし、われわれはそうではないのに、あたかもストラルドブラグのように生活しています。
バケットリストを持たずに生きるリスクと、その理由とは?

◇ 死ぬまでにやりたいことのリストがある。
  
(Happy Ending カード No.A-5)

 このカードの問いに対してあなたの答えはNOでしょうか?YESでしょうか?

 

<NOの場合>
自分の人生の物語の編集を止めてしまっています。長いながい人生100年の時代に、やりたいことがはっきりしない、さまようような後半生を送っているようでは、最期にあれこれと、やらなかったことに対して後悔する可能性が高いでしょう。残念ながら、Happy Endingを迎える可能性は高いとは言えません。

 

 

<YESの場合>
人生の方向性や動機付けを支えるのは目標そのものです。あなたは、目標の存在が人生の満足度の重要な要素であることを意識して、目標に向かって自分の物語を紡ぎ続けています。しかし、幸せを感じるのは、目標達成の有無ではなく、むしろ、それに向かって進むその時々に感じる最適経験からです。その経験の積み重ねがアイデンティティの成長に繋がるため、Happy Ending を迎える可能性が高いと言えます。




◇リスクはどこにあるのか?

<1>最期に時間が「欠乏」してしまうこと
キーワードは時間の欠乏とトレードオフです。
ガリバー旅行記に出てくるラグナグ島に住んでいたストラルドブラグは、愚痴が多く、何もしないろくでなしの種族でした。その理由は何かというと、不死の彼等には無限の時間があるため、急いで何かに着手する必要性がないためでした。18世紀に生きた作者のスウィフトは、あたかも現代の超高齢社会を見通していたかのごとく、ガリバー旅行記に高齢者を風刺して描いたのです。死ぬまでにやりたいことのリスト(明確な目標)を持たない人は、ストラルドブラグのように不死(時間が欠乏しない)であるかのごとく生きていると言えます。

時間が将来にわたって欠乏しない(期限がない)と思っていれば、何にしてもはじめる動機を持ちにくくなります。そして、貴重な時間を無為に過ごしてしまい、そして、やりたいコトに気づくのは、すでに時間が欠乏した時点においてなのです。

<2>時間の「欠乏」に気づきにくい

旅行用のトランクで「欠乏」について考えてみましょう。


あなたは、明日からの旅行に備えて、大きめのトランクを選んで、着替え、化粧品、パソコン、カメラまで様々なものを乱暴に詰め込みましたが、スペースにはまだまだ余裕があります。お土産まで入りそうだと一息つきます。しかし、少し考えてみると、この大きなトランクは、階段などでは両手で抱えなければ上り下りすることはできないし、行き先での飛行機、列車、バスなどにおける積み卸しがやっかいだと考えると憂鬱になってきました。

そこで、もう一つある小さい方のトランクに詰め替えることにしました。すると、先ほど放り込んだ荷物が全部は入らない…先ほどと違って、少々知恵を絞らざるを得なくなります。着替えは丁寧にたたみ、ブレザーと革靴は諦め、パソコンのかわりにiPadにしました。考えに考えて、最低限必要なものに絞り込み、ようやくフタを押し込むことができました。

この場合、小さなトランクに欠乏していたのは、スペースです。小さなトランクにおけるスペースの欠乏はトレードオフを意識させます。小さいトランクに何かを入れると、何かを出さなければならないのです。トレードオフとは、一方的に何かを取得するのではなく、交換条件で何かを差し出さなければならないことを言います。ここで注意が必要なのは、荷物の選択と詰め方を慎重に考えるのはスペースが欠乏しがちな小さなトランクの場合であって、スペースに余裕のある大きなトランクではむしろ、それが雑になってしまうという点です。

<3>時間のトランクにおける欠乏とトレードオフ

人にとって最も重要な資源は時間です。時間は「命」と言い換えることもできます。時間がなければ(死んでしまえば)、どんなに能力がであろうが、金持ちであろうが、やりたいコトはできないのです。

自分に残された時間(余命)をトランクの大きさで考えてみましょう。自分の時間のトランクを大きく想定していると、荷物(やりたいコト)の選択が甘くなります。まだまだ多くのコトを詰め込めると考えているうちに、時間のトランクのスペース(余命)は小さくなっていきます。さっきまでは入ったはずが、入らなくなることに気づくのは、多くの人の場合は死期を悟った時です。

大きな時間のトランクで荷物(やりたいコト)を選んでいると、今何かに時間を使えば、他のことに使う時間がなくなる(トレードオフ)ことに人は気付きません。むしろ、ストラルドブラグ的な時間の使い方が、トレードオフである現実を忘れさせ、後に時間の欠乏を招くという皮肉な構造なのです。

◇Happy Ending への選択

映画「最高の人生の過ごし方」はふたりの男がバケットリスト(死ぬまでにやりたいことのリスト)を書いて全世界を飛び回る物語ですが、彼等がバケットリスクを書いたのは、がんのため余命半年と宣言された後だったのです。彼等の時間のトランクが小さいことに気づいた後に荷物(やりたいコト)を選択してトランクに詰めはじめたのですが、土壇場で書かれたバケットリストは、本当にやりたいコトだったのでしょうか?

人生のトランクに、Happy Ending になるためのあなたの物語(バケットリスト)を先に詰めるか、それとも物語とは無関係のどうでもよいようなコトを先にトランクに詰めるかは、あなたの選択次第です。しかし、その選択をする前提は、バケットリストに掲げるような物語(やりたいコト)が今あなたにあるかどうかなのです。

あなたにはバケットリスト(死ぬまでやりたいことのリスト)に書くようなやりたいコトがありますか?

バケットリストの作り方はHappy Ending プランナーにご相談ください。

<参考図書>
「欠乏の行動経済学」センディム・ムッライナタン著 早川書房